東北夢の桜街道

宮城県

36番 田中酒造店(たなかしゅぞうてん)

宮城県随一の、生酛造りの蔵

東北酒蔵街道

広い間口で構えた、漆喰のナマコ壁と黒い瓦屋根が目を引く。昔のりっぱな商家づくりの建物は、町の風景にしっくりと溶け込んでいる。創業1789年(寛政元年)、呉服商を営んでいた田中屋の初代田中林兵衛が、副業としてはじめたのが、現在の田中酒造店の始まりだ。この蔵が建つ前の通りは、平成の合併前では、中新田町という名前の、かつて奥州探題の大崎氏の城下町として栄えた中心地である。「地域に愛されてこその酒蔵」というのが口ぐせであった、東北大学農学部の吹奏楽部員だった先代社長は、地元の中新田バッハホールの初代館長を務めるなど、創業以来、代々にわたって地域貢献を続けている。店のなかには、この町が伝え守ってきた、650年の伝統を誇る「火伏せの虎舞」の人形が、酒瓶と共に置かれていた。蔵元当主というのは、いつの時代も地域の名士、旦那衆の伝統が息づいている。

東北酒蔵街道 東北酒蔵街道 東北酒蔵街道
「生酛づくり」の酒は、やはり旨い。ふくよかでどっしりしていて、それでいて、母親のもつあたたかな包容力のようなものがある。時間と労力を要する、江戸時代から続く伝承の酒づくり「生酛づくり」を宮城県内で唯一行っているこの蔵には、熱湯を入れ、温度調節をする「暖気樽」や、正目の杉板でできている「麹蓋」など、伝統的な酒づくりの道具が、今も現役で活躍中だ。伝統を守るだけではない。純米吟醸の仕込には、タンクに波動スピーカーを設置し、県内の音楽家による、日本酒醸造の過程をモチーフにした作曲集「天音」のCDを聴かせて醸すなど、老舗の未来の味を仕込むことにも余念がない。
手島)
地元の米・水にこだわり、全量麹蓋による製麹・甑による蒸米・杉の暖気樽使用等、人手をかけた手造りの酒造。
所在地
宮城県加美郡加美町字西町88-1
地図で確認する
交通機関
JR陸羽東線古川駅から車で20分
電話番号
0229-63-3005
FAX番号
0229-63-3003
酒蔵見学
要事前連絡予約制
事前予約時に見学日時を決定
※酒造期はお断りする場合あり
試飲
無料
(見学時の人数による)
店頭販売
普通酒~大吟醸酒
新酒発売予定
12月下旬頃(しぼりたて原酒)
推薦銘柄
真鶴 山廃純米酒 / 真鶴 生酛 特別純米酒
/ 真鶴 純米吟醸酒
日本酒以外の限定品
酒粕(10~11月)
板粕(2月)
駐車場
有/20台
トイレ
男女別
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